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iDeCo・企業型DCで何を選べばいい?迷ったら「低コストのインデックスファンド」を選ぶ理由

iDeCo・企業型DCの商品選び

iDeCoや企業型確定拠出年金(企業型DC)を始めるとき、最初にぶつかる壁が「商品一覧」です。

見たことのない名前のファンドがずらりと並び、どれを選べばいいのか分からないまま画面を閉じた——そんな経験がある方は多いのではないでしょうか。

先に結論を書いてしまいます。

老後までの長期運用なら、多くの人は「低コストのインデックスファンド」を選び、国内外の株式(必要に応じて債券)に分散するだけで十分、というのが筆者の考えです。

筆者自身も企業型DCで約106万円をこの方針で運用しています。この記事では、なぜそう考えるのかを、制度の仕組み・データ・筆者の実際の運用例の順に解説します。

まず見るべきは「商品名」ではない

商品一覧で迷う最大の原因は、商品名を見て選ぼうとすることです。

確定拠出年金の商品名は「◯◯・セレクション」「△△バランスファンド」のような独自の愛称が多く、名前からは中身がほとんど分かりません。金融の専門家でも、名前だけで判断はできません。

でも安心してください。確定拠出年金で提供できる商品数は、法令で上限35本と決められています(2018年5月施行の改正確定拠出年金法)。世の中に数千本ある投資信託から選ぶわけではなく、せいぜい35本。しかも見るべきポイントは、次の2つだけです。

  1. 資産クラス(何に投資するファンドか)
  2. 信託報酬(保有中ずっと払い続けるコスト)

商品名は無視して、この2列だけを見てください。それだけで商品一覧は一気に整理できます。

ステップ1:資産クラスで仕分ける

商品一覧には必ず「商品タイプ」や「投資対象」の欄があります。まずはそこを見て、商品を次のグループに仕分けます。

資産クラス 中身 期待リターン 値動き
元本確保型 定期預金・保険 ほぼゼロ なし
国内債券 日本の国債・社債など
海外債券 外国の国債・社債など 小〜中
国内株式 日本企業の株式
海外株式 外国企業の株式
バランス型 上記を1本でミックス

35本あるように見えても、こうして仕分けると「各資産クラスにインデックス型が1〜2本、アクティブ型が数本、元本確保型が数本」という構成であることがほとんどです。選択肢は実質、各クラス数本ずつしかありません。

元本確保型には注意

「減らないなら定期預金でいいや」と元本確保型を選ぶ人は多いのですが、注意が必要です。

iDeCoは運用益が出ていなくても、加入時に2,829円、運用期間中は毎月最低171円(国民年金基金連合会105円+事務委託手数料66円。金融機関によってはさらに上乗せ)の口座手数料がかかります。金利がほぼゼロの定期預金だけでは、手数料の分だけ確実に資産が減っていきます(いわゆる「手数料負け」)。

掛金の所得控除メリットがあるため加入自体が無意味になるわけではありませんが、「老後まで20年以上ある人が全額元本確保型」は、もったいない選択になりやすいと考えます。

※企業型DCの口座管理手数料は多くの場合会社負担のため、この問題は主にiDeCoの話です。

ステップ2:同じ資産クラスなら「信託報酬が低いもの」を選ぶ

資産クラスで仕分けたら、次は同じクラス内での選択です。ここで登場するのが「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の違いです。

比較項目 インデックスファンド アクティブファンド
運用方針 市場平均(指数)に連動 市場平均を上回ることを目指す
信託報酬 低い(年0.1〜0.3%程度) 高い(年0.5〜2%程度)
長期保有との相性
初心者向け

「市場平均を上回ることを目指す」と聞くとアクティブファンドのほうが良さそうですが、実際のデータは逆の結果を示しています。

指数算出会社S&Pが公表している「SPIVA日本スコアカード」(2025年末版)によると、日本の大型株アクティブファンドの83.4%は、10年間で市場平均(ベンチマーク)に負けています。グローバル株式・国際株式・新興国株式のカテゴリーに至っては、10年間でベンチマークに勝ったファンドはゼロでした。

プロが運用しても、高いコストを払った分を取り返せないことが多い——これが過去データの示す現実です。

信託報酬の差は、将来いくらの差になるのか

信託報酬は「年率◯%」で毎日資産から差し引かれるため、実感がわきにくいコストです。ざっくりした総コストの考え方は次のとおりです。

総コスト ≒ 信託報酬(年率) × 運用資産 × 運用期間

運用資産が大きくなるほど、期間が長くなるほど、コストの差は雪だるま式に効いてきます。具体的に試算してみます。

前提条件:毎月2万円を30年間積立(元本720万円)、運用リターンは年5%(コスト控除前)と仮定し、信託報酬を差し引いた利回りで毎月複利計算

信託報酬 年0.1% 信託報酬 年1.5%
実質利回り 年4.9% 年3.5%
30年後の資産額 約1,634万円 約1,271万円

その差、約363万円。同じ掛金・同じ市場リターンでも、信託報酬の差だけで新車1台分以上の差がつきます。

将来のリターンは誰にも分かりませんが、コストだけは契約した瞬間に確定します。確実にコントロールできるものを最優先で抑える——これが「低コストのインデックスファンドを選ぶ」最大の理由です。

なお、低コスト競争は年々進んでおり、例えば代表的な全世界株式インデックスファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年0.05775%(2026年1月時点)まで下がっています。勤務先の企業型DCのラインナップには、ここまで安い商品がないケースも多いですが、その場合も「その一覧の中で一番低コストなインデックスファンド」を選べば考え方は同じです。

何本に分散すればいい?

「分散投資が大事」と聞くと、たくさんの商品を買うべきに思えますが、本数を増やすこと自体に意味はありません。大事なのは投資先(国・資産)が分散されていることです。

実は1本でも成立する

  • 全世界株式インデックスファンド1本:これ1本で世界中の数千社に分散投資できます。株式100%なので値動きは大きいですが、老後まで20年以上あり、途中の下落に耐えられる人には合理的な選択です
  • バランス型ファンド1本:株式と債券をあらかじめミックスしてあり、リバランスも自動。ただし信託報酬がやや高めの商品もあるので、必ず確認してください

2〜4本を組み合わせる場合

株式だけでは値動きが大きすぎると感じる人は、債券インデックスファンドを混ぜてリスクを抑えます。参考になるのが、私たちの公的年金約250兆円を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオです。

GPIFの基本ポートフォリオ:国内株式25%・海外株式25%・国内債券25%・海外債券25%

国の年金運用が「4資産に25%ずつのインデックス中心の分散」なのですから、個人が同じ発想で商品を選ぶのは理にかなっています。株式の比率を上げればリターン重視、債券を上げれば安定重視、と自分のリスク許容度に合わせて調整すればOKです。

筆者の実際の運用例(企業型DC・約106万円)

筆者は勤務先の企業型DCで、インデックスファンド4本に分散しています。2026年7月時点の状況がこちらです。

資産クラス 配分
国内株式 43%
海外株式 41%
国内債券 7%
海外債券 9%
  • 評価額:約106万円
  • 評価益:約24万円

株式84%・債券16%と、GPIFよりかなり株式に寄せた配分です。老後まで運用期間が長く残っており、途中の暴落は「安く買えるボーナス期間」と割り切っているためです。

運用で特別なことは何もしていません。低コストのインデックスファンドを選び、配分を決めて、あとは放置。売買を繰り返さず市場平均のリターンをコストを抑えて受け取る、この記事に書いたとおりの運用です。

強いて反省点を挙げるなら、国内株式の比率が海外株式と同水準まで高いことです。世界の株式市場に占める日本の割合を考えると、これから始める人は海外株式(全世界株式や先進国株式)を軸にするほうが素直だと思います。

この結論が当てはまらない人

「低コストインデックスで国内外に分散」は万能ではありません。次の場合は前提が変わります。

  • 定年が近い(運用期間が10年未満):株式比率を下げ、債券や元本確保型の割合を増やして「守り」に入る時期です
  • 値下がりに耐えられない:夜眠れなくなるくらいなら、債券多めやバランス型で値動きを抑えるほうが長続きします
  • 元本割れを絶対に避けたい:元本確保型中心でも所得控除メリットは受けられます。ただし前述の手数料負けには注意
  • 勤務先DCのラインナップが特殊:低コストなインデックスファンドが1本もない場合は、その中での相対的な最善を選びつつ、iDeCoやNISAなど別の器の活用も検討してください

まとめ:低コスト・インデックス・分散

iDeCo・企業型DCの商品選びは、突き詰めればこれだけです。

  1. 商品名は見ない。見るのは「資産クラス」と「信託報酬」の2つ
  2. 同じ資産クラスなら信託報酬が低いインデックスファンドを選ぶ
  3. 国内外の株式(必要なら債券も)に分散する。全世界株式なら1本でも成立
  4. あとは放置。頻繁な売買はしない

確定拠出年金は数十年単位の長期運用です。将来のリターンは選べませんが、コストは選べます。低コスト・インデックス・分散の3つを押さえれば、多くの人にとって十分な資産形成が期待できるはずです。

【参考】2026年12月に制度が大きく変わります

最後に、これから始める人向けの制度メモです。2026年12月施行の制度改正で、iDeCoは次のように変わる予定です。

  • 拠出限度額の引き上げ:会社員・公務員(第2号被保険者)は企業年金の掛金と合算で月6.2万円、自営業者等(第1号被保険者)は国民年金基金等と合わせて月7.5万円に(現行は企業年金なし会社員で月2.3万円、企業年金あり・公務員で月2万円、自営業者で月6.8万円。新上限の反映は2027年1月拠出分から)
  • 加入可能年齢の拡大:現行の65歳未満から70歳未満に
  • 手数料の改定:国民年金基金連合会の手数料が「拠出1回あたり105円」から「月120円」に(2027年1月納入分から)

掛金枠が大きく広がる改正なので、「何を選ぶか」を今のうちに固めておく価値はさらに高まります。最新情報はiDeCo公式サイト厚生労働省のページで確認してください。


※本記事の情報は2026年7月24日執筆時点のものです。制度・手数料・信託報酬は変更される場合があるため、最新の公式情報をご確認ください。

※本記事は特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。掲載している試算は前提条件に基づく簡易シミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資は元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

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